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日本市場を飛び出し、急成長するアジアへ 化粧品の販路開拓について探る

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縮小しつつある日本市場での販路開拓に限界を感じつつも、なかなか海外進出への一歩を踏み出せずにいる中小企業が多い中、自社開発の化粧品のアジア展開を始めた「株式会社ビーエーティ 美健創造研究所」の代表取締役 小池ひろこさん。

今回は、ファッション&雑貨の卸・仕入れサイト「SUPER DELIVERY」とその越境版「SD export」を運営する「株式会社ラクーン」の取締役 阿部 智樹さん、アジア向けの化粧品クチコミサイト「COSMERIA」を運営する「株式会社プラネティア」の代表取締役 山岸ロハンとともに、今後の化粧品の販路開拓について語り合っていただきました。

対談メンバー

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写真左から阿部 智樹氏、小池 浩子氏、山岸 ロハン

株式会社プラネティア
代表取締役 山岸 ロハン
経歴:1974年生まれ。趣味はピアノ。留学のため渡米しMinnesota State University, Mankatoを卒業。 1998年より米国にて検索エンジンマーケティングに従事。世界中に検索エンジンマーケティングのプロフェッショナルネットワークを構築。2002年米国にてInfo Cubic LLCを設立。多言語のwebマーケティングに関する情報発信を続けており、国内外で多数のセミナー講演を行っている。著書に「海外SEO/SEM」(翔泳社)、Digital Marketing in Asiaがある。

株式会社ビーエーティー 美健創造研究所
代表取締役 小池 浩子
1970年生まれ。1998年の時に独立しエステサロン開業、株式会社シービーエー設立。2008年〜現在、3事業に従事。 『健康づくりは人づくり』『保健、信頼、実現』と予防医学を理念の株式会社保健支援センター 専務取締役。 健康経営アドバイザー。2012年株式会社ビーエーティー 設立。美健創造研究所では、化粧品製造販売事業で海外を視野に展開。

株式会社ラクーン
取締役 阿部 智樹
2000年株式会社ラクーン入社。2006年には東証マザーズに上場。B to B向けのマーケットプレイス「オンライン激安問屋」「SUPER DELIVERY」の責任者を経て、2014年クラウド受注・発注システム「COREC」を立ち上げ。2016年東証一部に市場変更。現在はEC事業管掌取締役として「SUPER DELIVERY」「COREC」の2事業に携わる。

「すぐに海外進出しなきゃ!」という強い気持ちが、アジア展開を後押し

山岸 はじめに、小池さんがなぜ海外進出をしようと思ったのか、きっかけを教えていただけますか?

小池 私はもともと視察や仕事で海外に行く機会が多くて、例えば3年前には1年間で18カ国も行ったりしました。
それで、世界の中でも今、日本はすごく経済成長のスピードが低下していると言われていますので、これからは地方創生とあわせて海外にも展開していかなくてはいけないと考えるようになったんですね。

阿部 では、なぜアジアを選ばれたのでしょうか?

小池 アジアを訪れると、すごく国自体のパワーを感じるというか、「アジアはスピード感が凄いな」と感じていたんです。それと同時に、「すぐに海外進出しなきゃ間に合わなくなる」と強く感じるようになりました。
現地に行くと、本当に「今しかない」と感じるくらい、本当にスピード感があるんです。それがすごく脅威で。自国(アジア)でも化粧品の開発がどんどん進んでくると思うし、やっぱり今すぐに進出してきちんとした自社ブランドを構築していかないと、手遅れになるかもしれないと。
だから、まさに今なんですよ。「どうしようかな」と考えて立ち止まっている場合じゃなくて、「まずはやってみて、考えるのは後から」みたいな(笑)

「急成長するアジアのスピードに勝つには、ITしかない!」

小池 色んな手法があるとは思うんですけど、世界的に海外進出への競争率が高まる中でアジアに打って出るためには、スピード感で勝てる要素はITしかないなと。
それで、日本の製品はやはりアジアの方たちにはすごく魅力的だと思うので、ECサイトでまず足場をしっかりと作って……ようは、大手企業のような体力も資金力もないので、少ない資金でスピード感を出すため、少しでも早くITでプロモーションをかけていきたかったんですね。

山岸 日本の企業からしてみると、「隣の会社がまだ海外進出してないから、うちの会社ももう少し後でいいかな」と思うかもしれないですが、グローバル化しているのは日本だけではないですし、アジアはまだ発展途上ですが小池さんがおっしゃる通り、スピードが速いですからね。日本ではIT化に5年かかったところが、もしかしたら1年しかかからないかもしれない。そうすると現地からグローバル化していきますから、あっという間に置いて行かれてしまうかもしれない。そうした危機感があるかどうかはとても大事。

阿部 日本国内だけ見ていると「なんとかやっていける」と思うかもしれないですが、海外のいろんな国がECなどを使ってどんどん日本から販路を奪っていくんですよね。私もそういう危機感を感じています。

アジア向け口コミサイト「COSMERIA」での評価は上々
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山岸 小池さんが代表を務める「株式会社ビーエーティ 美健創造研究所」からこのほど製品化された「AMAジェル美容液」が、弊社「株式会社プラネティア」の運営するアジアの化粧品口コミサイト「COSMERIA」(コスメリア)で話題になっていますが、どんな商品なのでしょうか?

小池 「AMAジェル美容液」という商品で、主に美白と肌のハリ・弾力をかなえるアンチエイジング基礎化粧品です。従来は美顔器などの機械を使っていた肌の筋肉のトレーニングを再現できるのが特徴で、ロイファシルなど質の高い有効成分を配合しながらも、できる限り購入しやすい価格に設定してあります。今回のアジア進出はこちらを中心に進めています。

山岸 口コミ内容を見てみると、「肌の質感が良くなった」などの使用感から「パッケージが可愛い」といった見た目の感想まで、高評価が目立ちます。また日本ではオールインワン化粧品はすでに定番商品のひとつになっているようですが、アジアではまだ珍しい国も多いようで、「これ1つでお手入れできちゃう!」といった声も多いようですね。

小池 はい。弊社はとにかく、お客様に喜ばれる・愛される商品こそ普遍であるという信念のもと、「健康づくりは人づくり」という言葉を掲げて予防医学を推進しておりますので、アジアの女性にも受け入れていただけたことはとても嬉しいです!

構想5年。ようやく製品化した自社化粧品への思い

阿部 「AMAジェル美容液」は日本でも発売されているそうですが、製品化されたばかりなんですか? 製品化するまでには、どのくらいの期間が必要でしたか?

小池 5年ほど前から「化粧品を作りたい」と思い始めまして、4年ほど前からは何度も試作品を作ってテストを重ね、今年になってようやく完成しました。
私は28歳からエステサロンを経営しており、毎年5000人くらいのお客様が来店されていました。現在はもう現場には立っていないのですが、実際に30~40代またはそれ以降のお客様に施術していく中で、ほうれい線や小じわ、毛穴などが薄くなる成分があることに気付いていました。それで有効に働く成分と最も効果が高まる配合をじっくりと見極めて、手軽に使えるオールインワンジェルとして製品化しました。

山岸 構想から5年とは、大変でしたね! 商品名にはどんな意味が?

小池 商品名の「AMA」のAはエンジェル、Mはマザー、Aはアストラル(星)のイニシャルで、女性と子どもに天から幸せが降り注ぐというイメージなんです。頑張る女性や母親のもとで子どもがすくすく育つ、家族みんなが幸せになる……というような。色んな戦略はあると思いますが、そうした考え方を前提にこれからも、どの国でも喜ばれる価格で、「高品質でありながら安く手に入る化粧品」を極力実現していきたいと思っています。

アジアでは日本よりも口コミの重要度が高い

山岸 「COSMERIA」は、アジアのモニターが化粧品サンプルを試してレビュー(口コミ)を書くというサービスです。今年の4月にサービスを開始して以来、東南アジアですでに10,000名を超える化粧品モニターを獲得しており、Facebookのファンは100,000を超えました。口コミがFacebookと連携しているので、SNSによる拡散によって現地での認知度を拡大できるのが特徴になっています。

阿部 アジアでは口コミが重視されると聞きますから、高い効果が期待されますね。

山岸 はい。アジアの方が日本よりも、何かを買う時の判断材料として口コミを利用することが多いです。その中でも、友達など身近な人の口コミはとても信頼されています。
これは日本にも言えることですが、やっぱりぜんぜん知らない100人の口コミを見るより、Facebookで親しい友達が2人「使ったら良かったよ」と書いた方が、買いたくなるじゃないですか。

小池 逆に商品を作る側としても、現地の女性がオールインワンジェルを使ってどんな感想を持ったのか「COSMERIA」の口コミで知ることができて、とても参考になっています。

山岸 これから越境ECはさらに加速していくと考えられますし、口コミの重要度が高いアジア向けに化粧品を販売していく上で、現地でのマーケティングやブランディングに悩んでいる企業にとって「COSMERIA」は必ず活用されるプラットフォームになるはずです。

阿部 弊社は、国内のファッション・雑貨業界のメーカーと海外の小売店が出会い、継続して取引できる卸・仕入れサイト「SD export」(エスディーエクスポート)を運営していますが、現在はB to Bに特化しているので、「COSMERIA」とコラボできれば、他にはない最強の拡販支援ツールになる予感がします!

山岸 そうなれば、一般の消費者やバイヤーさんたちも口コミを見てから購入できますから、とても便利ですよね! 従来の口コミは「商品をまず購入し、使った後に書く」という順序でしたが、今後は「口コミしてもらってから売る」という逆の発想がとても大事だと考えているんです。
というのも、販売する側にとって、販売をスタートしてから軌道に乗せるのが一番難しいところじゃないですか。それでプロモーションにお金をかけたとして、売れてくれればいいですけど、うまくいかないことも多いですし、予測が難しい。特に東南アジアなど口コミがほとんどない場所では、口コミがあればそれを参考にして購買する人も増えると思いますし、その後に販売につなげるという流れは本当に良い循環を生むと思います。

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「アジアの人は、本当に日本の化粧品が好き」

山岸 これまでB to Bしかやってこなかった私にとって、B to Cは未知の領域ですし、前例がない事業でしたから、「COSMERIA」をはじめる時はとても不安でした。本当にアジアの人が化粧品を使って口コミを書いてくれるのかとか、配送の課題があったりもしましたし。
それでサイトの仕組みはひらめいたものの、化粧品の知識はないので、小池さんにも相談にのってもらったりして。

小池 イタリアンレストランで(笑)

山岸 そうそう(笑)。話していく中でいろいろ考えたり情報をもらったりして、数カ月間はサイトの準備に費やしました。そうして、4月にプレオープンしてプレスリリースも出して、6月にサイトをオープンしたのです。この6カ月の間に、システムは12回以上改善しましたし、サービス資料も8回もバージョンアップしました。今も少しずつ改善していますけど、「COSMERIA」をやってみてひとつ分かったのは、「アジアの人は本当に日本の化粧品が好き」ということ。化粧品だけではなく、“日本ブランド”をとても信頼しているんですよ。Facebookやメッセンジャーなど、いろんなところから「ありがとう」とか、わざわざ動画を撮って感想を送ってくれたりします。最近では、ブログに感想を書いてくれる人も現れたほどです。

小池 嬉しいことに、その通りなんですよね。せっかく日本に対して信頼してもらっているので、それを活用させていただかないと。

阿部 動画まで送ってくれるとは、本当に好きなんですね。モニターさんは無料で商品を試しているんですか?

山岸 無料でサンプルを送っているのですが、だからといってすべての商品にベストの評価を書くわけではなく、ある化粧品は複数のモニターさんが「臭いが強かった」と評価していたりと、公正な目でレビューを書いてくれていますね。
弊社は多言語IT事業専門で化粧品業界には詳しくないので、その中でその業界に特化したサイトを運営するというところで、やっぱり一番は「ユーザーが使って喜んでくれる」ということが大事なんだとオープンしてから3カ月くらいですが確信しました。それがなければどんなことをやっても多分ダメじゃないですか。だから、ちゃんとファンやモニターを増やしていけば、絶対に日本の化粧品会社さんのバックアップができると実感しましたね。

阿部 弊社「株式会社ラクーン」でも、実はアジアの人が日本ブランドの化粧品に好印象を持っていることから、「SD export」で、かねてより化粧品を扱いたいと考えていました。でも国内のECと違って、けっこう貿易関係の手続きをクリアする環境を整えるのが大変で先送りしてしまっていたんです。それが近年の越境ECの盛り上がりを受けて、ようやく今年8月から化粧品の取り扱いをスタートすることになりました。

海外進出する化粧品のハードルは......

小池 化粧品というのはやっぱり、商品を使ったことで何か肌トラブルが起きたとか、そういうことが起きないかというのがハードルとしてまず考えられると思いますが、弊社ではもともとそうした要素を取り除くために検証してきましたので、今までにトラブルはありません。今から化粧品の製造販売を始められる場合は、安全性の検証に時間もお金もかかってしまうところが一番のハードルかもしれないですね。逆に弊社では、「今までやってきたものがあるので良かった」と思っていますが。
それともうひとつ、化粧品の成分の中で「日本国内では使用しても大丈夫だけれど、この国ではこの成分を使ってはダメですよ」というのがありますので、それが化粧品の海外進出では大きなハードルになると思います。
最初はほかにも課題がたくさんあって、「これは難しいんじゃないか」と思うこともありましたが、今のところは少しずつハードルをクリアして、なんとかやっています。

山岸 頭で考えて止まってしまうより、行動してしまったほうが意外と何とかなるものですよね。ハードルを超える方法も、ひとつじゃなくてたくさんある。

小池 山岸さんがおっしゃるように、「答えにたどり着くためには、100通り、200通り、何百通りのやり方があるのだな」というのが、分かってきたところです(笑)

山岸 そうですね(笑)。 webでは一度にまとめて何かするのではなく、試しながら進めるほうが効率が良かったりします。「COSMERIA」も、英語だけでスタートしましたが、インドネシアとか、香港、台湾など、色んな国のユーザーが口コミを寄せてくれていますし、これから中国語、ベトナム語、タイ語などに対応させていく予定です。
「SD export」も確か英語でしたよね。

阿部 はい、「SD export」は英語だけですが、アジア圏では台湾、香港、中国のユーザーもたくさんいますし、東南アジアではタイ、マレーシアなどはもちろんブルネイなどマニアックな国からも多数ご登録いただいています。

山岸 これが、「最初から5言語すべてに対応させておこう」とかまえてしまうと、けっこう大変です。だから「はじめの一歩は、まず踏み出しちゃえ」と。そうすると色んな課題が見えてきて、それを1つずつ解決していかなければ先に進めないので、ヘンな話、うまくいくか考えているヒマはないんですよ。それでいいと思いますし。

小池 私もなるべくあまり難しく考えず、じゃあ「この問題を解決するにはこの方法にしよう」とか、自社で分からない部分はプラネティアさんやラクーンさんのような専門に特化した業者さんにお願いして、対応を一任していますね。そうして今のところは、壁にはぶつかったりいろいろありましたが、何とか超えられています。

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「SD export」で、越境B to Bに挑戦!

阿部 さきほどから少しお話ししていますが、「SD export」は国内のメーカーさんと海外のバイヤーさんがネット上で取り引きできるサービスです。もともと「SUPER DELIVERY」(スーパーデリバリー)という、国内向けのいわゆるネット上の問屋さんみたいな位置づけのサービスがありまして、ここではメーカーさんや問屋さん・商社さんが出展し、小売店さんが商品をネットショッピングするような感覚で仕入れをしています。「SD export」も一般の消費者向けではなく、日本国内のメーカーと海外の企業・小売店が取引できるB to Bの越境ECサイトなんですね。商品を登録してもらうと海外のバイヤーさんたちが買い手となって世界中で買い付けてくれます。

山岸 「自社でサイトを作って直接取り引きすればいいじゃない」というメーカーさんも多いと思いますが、違いはどんなところでしょうか?

阿部 国内販売と違って輸出入をするとなると、翻訳や通関のための手続き、梱包・発送のほか、いろいろと手間がかかります。そうした煩雑な作業をすべてシステム化して弊社で代行し、国内取引と変わらない手間で越境ECがはじめられますよ、というのが特徴になっています。

小池 日本のお客様とまったく変わらない形で、海外のバイヤーさんと取り引きできるんですね。うちもぜひ登録したいです! ちょうどアジア以外にも販路を拡大したいと思っていましたし、海外進出のためのB to Bを手軽に始められるのは良いですよね。

阿部 ぜひご登録をお願いします。手間としては本当に、注文が入ったら宅配便などで商品を弊社の国内倉庫に送ってもらえばいいくらいですので、特に大手企業さんのように自社でサイトを立てるのが難しい中小企業さんにオススメしたいB to Bサービスだと思います。小池さんの会社の化粧品ではないですけど、オールインワンでやりますよという感じですね(笑)

「どの国で売れるか」を考えるより「売ってみたら火が付いた」

小池 「SD export」のサービスは、何カ国くらいをカバーされているんですか?

阿部 134カ国ですね。すごくマニアックな国でなければ、本当に世界中どこにでも発送できますよ。アフリカの真ん中のどこかと言われると分からないですが……。

小池 134カ国なんて、すべて思い浮かべることができる人はいないくらいですよね。
この国で売りたいという指定もできるんですか?

阿部 できます。でも1国ずつ売りたいところを選ぶというよりは、例えば「中国はやめておこう」とか、「タイは代理店経由で売りたい」という風に売らない国を選択した方が楽だと思います。134カ国もあるので……。

山岸 実際、「この商品はどこの国の人が買ってくれそうか」というのを事前に調査してから売り始めるより、商品をサイトに掲載して反応が良かった国にターゲットを絞っていく方が効率だと思います。

阿部 国を限定せずに商品を掲載すれば、世界中の人が買える状態になりますので、気に入った人たちからどんどん注文が入って来るという流れですね。
それで「売ってみたら、思わぬ国で火が付いた」ということも多々あるから面白いですよ。

小池 逆にその方が、手がかからなくていいですね!

山岸 どの国で売れるかを推測するのって、実はけっこう難しくて。その点「SD export」を利用すれば、海外のバイヤーさんたちがたくさん商品を見てくれますから、むしろ彼らに商品を欲しがっている人たちに売ってもらえるのは効率的ですよね。

阿部 今、海外だけでバイヤーが1万店舗以上登録されていますので、本当にどの国からどれくらい注文が来るか分からない状態です。商品によっては意外と、東南アジアで売るつもりがアメリカで人気が出ちゃった、ということもありますし。

山岸 出してみて初めて分かるというか、「この国の人が?」という意外な発見が結構多かったりしますよね。

阿部 ちなみにB to Bのメリットは大きく2つありまして、1つが「受注ロットが大きいこと」、そしてもう1つが「継続性」です。お店で売る商品を仕入れている場合が多いので、ある程度のロットをまとめて買ってもらえますし、売れればすぐに追加発注が来ます。太いお客さんを増やして行ければ売り上げが安定しますから、それも強みになります。
ロットがまとまれば、特に越境の場合は、10個・20個とまとめて発送することで1個あたりの送料が抑えられ、適正価格で販売できるようになります。ですから送料面で見ると、越境ECはB to Bが向いているとも言えますね。

webに国境はなく、世界中がつながっている

小池 今、うちのような中小企業が海外に販路を見出そうとすると、どういうことが難しいんでしょうか。

山岸 一番多いのは実は「何から手をつければいいか分からない」というご相談なんです。
1つずつ見ていくと、翻訳をどこに頼むかとか、発送の手配をどうするかなどたくさんあるんですけど、それよりも「海外」という言葉だけでとらえて、「分からない、スゴイ大変そう、色んな問題が起こりそう」と二の足を踏んでしまうんです。
しかし、もちろん色んなハードルはあると思いますが、言ってしまえば事業の難しさという面では日本でやるのも相当難しいですから、海外だからって本当は身構える必要はないんですよね。
例えば、今ある商品を買ってくれる人が世界のどこかにいるかもしれない。新しい商品をイチから作るのって大変ですし、それなら「SD export」などを利用して買ってくれる人たちを探したほうが効率が良いと思うんです。その後、ターゲットとなる国でどうやって売るか、どんなプロモーションをかけるかというのがありますね。

阿部 海外への発送方法で悩む方もいるようですが、なんなら郵便局に持って行けばだいたい手配してくれますから、本当はそれほど悩まなくていいんですよね(笑)

小池 そうですね(笑)!

山岸 でもそういうことも、実際にやったことがないと「スゴイこと」に思えちゃう。情報が少ないから多分、「海外」という言葉だけが先走ってしまって、考えすぎで難しくしてしまっているような。でも本当は、例えば「東京のものを大阪で売る」ような単純なものなんですけどね……自分はそう思います。言葉と文化は違っても、同じ人間同士のやりとりですから。
ちなみに、「COSMERIA」は「アジアの女性を笑顔に」というミッションを掲げていまして、化粧品が届いて箱を開けた時、ちょっと笑顔になるような仕掛けをしているんです。
サービスを通してそうした笑顔を増やしたいというのが、今後の願いですね。

阿部 webでは国境なんて関係なくて、「日本と外国」というよりは「グローバル」という感覚なんです。

山岸 アジアも、ASEANなど捉え方で違いますからね。改めて考えるとネットってすごいな。会わなくても海外の企業とつながれるし、かなりのことができますからね!

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「COSMERIA」×「SD export」=口コミ×越境EC×B to B

小池 今日は、この場で口コミの重要性やB to Bのことなどをたくさんお聞きして、また「SD export」についても知ったことで、さらに海外展開に取り組むスピードを速めなきゃいけないと実感しました。

山岸 海外展開をスピーディーに進めると言えば……実は2017年1月から、「SD export」の中に「COSMERIAショップ」を出店していますから、小池さんもぜひどうぞ。

小池 そうなんですね! どんな特徴があるのでしょうか?

山岸 「COSMERIA」を契約している人向けのオプションサービスで、商品の写真と情報の登録・翻訳・問い合わせの一時対応をすべて「COSMERIA」が代行するので、メーカーさんは何もしなくても1万社以上の海外バイヤーに商品を買ってもらえるのです。また、化粧品を1点からでも掲載することができることも特徴のひとつです。

阿部 それに、「SD export」内の目立つところにリンクを張るので、バイヤーから見つかりやすいですよ。

山岸 もちろん「COSMERIA」の口コミが共有されるので、例えば台湾のバイヤーが日本の化粧品を仕入れようと探していた時、現地の口コミが付いていれば「現地に受け入れられるかも」という期待が高まり、仕入れにつながってくるでしょう。たった1日で世界中の1万以上のバイヤーに商品を見せられるので、本当に画期的だと思います。

阿部 「COSMERIAショップ」、今後が楽しみですね。口コミがあって、なおかつB to B向けのEC……というサービスは、まだ見たことがありません。

山岸 「COSMERIA」の口コミが「SD export」と連携することで、越境ECやB to Bの拡販ツールとして最強のものになるはずです!

阿部 はい。弊社としてもこの提携で新しい顧客を開拓したいですし、今後は特に「SD export」で日本製の質の高い商品を、もっともっと世界中に届けていきたいですね。
確かに日本市場は縮小してきていますが、せっかく良い製品がたくさん開発されていますから、少しでもメーカーの人たちのお手伝いができれば。“オールジャパン”の一員として、日本を世界にぶつけていくひとつのゲートウェイとして「SD export」が役立てれば良いと思っています。

小池 私はやっぱり、企業としても健康経営を目指しながら、「健康と美」をベースにこれからもやっていきたいと思っています。家族が健康だと企業価値も上がり、仕事も向上していくし、幸せになると思っていますので。そして「健康づくりは人づくり」という企業理念が、商品を手に取ったお客様に伝わって、使っていただいたお客様も幸せになっていただきたいですね。そして売り上げが堅調になったら、子どもの虐待やいじめを防止するために役立つ寄附などもしていきたいと思っています。

山岸 お2人とも、今日はありがとうございました。